新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、大きな打撃を受けた飲食店も少なくありません。2023年5月より、季節性インフルエンザと同等の第5類に移行しました。移行に伴い、ようやく制限のない店舗運営が可能となりました。一方、営業の自粛や酒類の提供自粛に対する給付金など、ほぼ支給を終了しています。2023年6月現在、飲食店が利用できる補助金や助成金はどのようなものがあるのでしょうか。当記事では、現時点で飲食店が利用できる主な助成金・補助金を解説いたします。そして、IT導入補助金を活用した飲食店のIT化事例などもご紹介します。
飲食店が利用できる主な補助金・助成金
新型コロナウイルス感染症の第5類移行に伴い、持続化給付金や新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金などの支給は終了しています。一方、第5類移行後もいくつかの補助金・助成金は申請が可能です。飲食店が利用できる補助金・助成金もいくつかあります。受給を検討している方は調べてみましょう。ここでは、経営立て直しの強い味方となりうる補助金・助成金をご紹介します。
雇用調整助成金(通常制度)
雇用調整助成金とは、経済上の理由によって事業の縮小を余儀なくされた事業主への制度です。休業・教育訓練・出向に要した費用を助成する雇用を維持するための制度です。コロナ禍においては新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例が設けられていました。現在は2023年3月末日をもって経過措置も終了したため、現在は通常制度での申請となります。
雇用調整助成金の受給額は、休業した場合は事業主が負担した休業手当相当額、教育訓練を実施した場合は賃金負担相当額に助成率を乗じた金額です。また、教育訓練を行った場合は1人あたり1日1,200円が加算されます。ただし、1人あたり1日8,355円を上限とするなど、支給に関しては要件や制限があるため注意が必要です。
助成内容と受給できる金額 | 中小企業 | 中小企業以外 |
休業した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成率 | 2/3 | 1/2 |
教育訓練を実施したときの加算額 | (1人あたり1日)1,200円 |
飲食店の場合は、休業に対して助成を受けるケースが多いかもしれません。助成を受けるには、直近3ヶ月の売上が前年比で10%以上減少しているなどの要件を満たす必要があります。前年の売上高を確認し、該当する場合は申請を検討しましょう。
外食産業事業成長支援補助金
外食産業事業成長支援補助金とは、外食産業における新たな需要喚起と、深刻化する人手不足等の経営課題を解決するため、事業者による新たな取り組みを支援するための補助金です。例えば、居酒屋から焼肉店への業態転換、テイクアウトやデリバリーメニューの開発、セルフオーダーシステムの導入などへの活用が想定されています。
前提として、2021年度から2022年度の売上伸長が115%以下である必要があります。また、今後の売上拡大・収益拡大につながる具体的な計画が必要です。総事業費が200万円以上の計画を対象としています。補助率・補助金は下記の通りです。
- 補助率:1/2以内
- 補助金:上限1,000万円以下、下限100万円以上
なお、1次公募は2023年5月末日で終了しています。利用を検討している方は情報をこまめにチェックし、2次公募以降に応募しましょう。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、アフターコロナにおける経済社会の変化に対応するため、業態転換・事業転換・事業再編・国内回帰などによる思い切った事業再構築に挑戦する中小企業等を支援するための補助金です。
「成長枠」「グリーン成長枠(エントリー)」「グリーン成長枠(スタンダード)」「卒業促進枠」「大規模賃金引上促進枠」「産業構造転換枠」「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」などの事業類型があり、それぞれ補助率や補助金額が異なります。
第10回公募から新設された物価高騰対策・回復再生応援枠は、コロナ禍や物価高騰で業況が厳しい事業者を支援する枠です。飲食店でも比較的利用しやすい事業類型となっています。物価高騰対策・回復再生応援枠の補助率・補助金は下記の通りです。
補助率
企業規模 | 補助率 |
中小企業者等 | 2/3(※1) |
中堅企業等 | 1/2(※2) |
※1:従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4
※2:従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3
補助金
従業員数(中小企業者等・中堅企業等) | 補助金額 |
従業員5人以下 | 100万円~1,000万円 |
従業員6~20人 | 100万円~1,500万円 |
従業員21~50人 | 100万円~2,000万円 |
従業員51人以上 | 100万円~3,000万円 |
現在第10回の公募期間中で、期限は2023年6月30日(金)の18時厳守となっています。公募期限が迫っているため、検討中の方は早めに応募しましょう。
小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者持続化補助金とは、働き方改革の推進・社会保険の適用拡大・インボイス制度の導入など、今後数年にわたって実施・施行される制度変更に対応するため、小規模事業者等が経営計画に沿って取り組む販路開拓や生産性向上にかかる経費の一部を補助するための補助金です。
「通常枠」「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」などの事業類型があり、それぞれ補助率と補助上限が異なります。一定の要件を満たせば、「インボイス特例」として50万円の上乗せ受給が可能です。
飲食店の場合、販路拡大を目指してWebサイトやECサイトを作成する経費などが該当します。補助率・補助上限は下記の通りです。
事業類型 | 補助率 | 補助上限 | インボイス特例 |
通常枠 | 2/3 | 50万円 | 50万円 |
賃金引上げ枠(※1) | 2/3(※2) | 200万円 | |
卒業枠(※1) | 2/3 | 200万円 | |
後継者支援枠(※1) | 2/3 | 200万円 | |
創業枠(※1) | 2/3 | 200万円 |
※1:補助事業終了時点で一定要件を満たす必要があります。
※2:赤字事業者は3/4
現在第13回の受付中で、期限は2023年9月7日(木)となっています。事業支援計画書の発行には商工会議所に作成を依頼する必要があります。一定の時間がかかるため、利用を検討中の方は早めに準備を進めましょう。
ものづくり補助金(一般型・通常枠)
ものづくり補助金とは正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。働き方改革の推進・社会保険の適用拡大・インボイス制度の導入など、今後数年にわたって実施・施行される制度変更に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するための補助金です。
「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」などの事業類型があります。事業類型により、それぞれ補助率と補助金額が異なります。なお、以前は「グローバル展開型」や「ビジネスモデル構築型」などの部門もありました。しかし、現在は上記の事業類型から成る「一般型」のみとなっているため気をつけましょう。
飲食店の場合は「通常枠」の利用がおすすめです。革新的な製品やサービスの開発・生産プロセス・サービス提供方法の改善向けて、必要な設備・システム投資等を支援する補助金です。例えば、アレルギー対応のパンを製造するため、設備投資に補助金を活用したい場合などが考えられます。一般型・通常枠の補助率・補助金額は下記の通りです。
補助率
企業規模 | 補助率 |
中小企業者 | 1/2 |
小規模企業者・小規模事業者(※1) | 2/3 |
再生事業者(※2) | 2/3 |
※1:常勤従業員数が、製造業その他・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社または個人事業主を言います。
※2:中小企業再生支援協議会等から支援を受け、別途定める定義を満たした会社または個人事業主を言います。
補助金
従業員数 | 補助金額 |
5人以下 | 100万円~750万円 |
6人~20人 | 100万円~1,000万円 |
21人以上 | 100万円~1,250万円 |
現在15次の公募受付中で、応募締切は2023年7月28日(金)の17時です。申請受付は5月12日(金)の17時よりスタートしています。利用を検討している方は早めに応募しましょう。
IT導入補助金2023(通常枠)
IT導入補助金とは、中小企業等が自社の経営課題やニーズに合ったITツールを導入するための経費の一部を補助するための補助金です。
「通常枠(A・B類型)」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」などの事業類型があり、それぞれ補助率と補助金額が異なります。
ホームページも補助金の対象に、補助を受けるためのノウハウなら、Smart10。
飲食店の場合は、通常枠(A・B類型)の利用が一般的です。例えば、POSレジやオーダーシステムの導入などへの活用が考えられるでしょう。なお、A類型とB類型の違いは補助金申請額です。申請額が5万円~150万円未満の場合はA類型、150万円~450万円以下の場合はB類型となります。通常枠(A・B類型)の補助率と上限額・下限額は下記の通りです。
通常枠 | 補助率 | 上限額・下限額 |
A類型 | 1/2以内 | 5万円~150万円未満 |
B類型 | 150万円~450万円以下 |
現在は3次締切分の募集が行われております。こちらは締切日は2023年7月10日(月)の17時となっています。なお、4次締切分は締切日が2023年7月31日(月)の17時です。こちらを過ぎてしまうと来年度まで応募できないため注意しましょう。
IT導入補助金を使った飲食店のIT化事例
IT導入補助金というと、企業活動のDX化や製造現場のIoT活用など、大規模なものを想像するかもしれません。しかし、小規模な飲食店でもIT導入補助金を使って業務を効率化することが可能です。ここでは、IT導入補助金を使った飲食店のIT化事例をご紹介します。
POSレジやセルフレジの導入
人手不足やインボイス制度に対応するには、POSレジやセルフレジの導入を検討しましょう。例えば複数店舗に設置する場合、店舗規模に応じて調整が可能です。大規模なターミナル型やパソコン型から、中小規模の店舗に最適なタブレット端末等を利用したクラウド型などが選択できます。また、セルフレジであれば、ランチタイムなどの忙しい時間帯でも安心です。
なお、IT導入補助金ではソフトウェア購入費やクラウド利用料だけでなく、POSレジ本体やパソコン・タブレット端末などの購入費用にも補助が受けられます。ただし、ハードウェアには下記の上限が適用されるため注意しましょう。
ハードウェア購入費 | 補助率 | 補助上限額 |
レジ・券売機等 | 1/2 | 20万円 |
パソコン・タブレット端末等 | 1/2 | 10万円 |
レジを複数台導入したい場合など、ハードウェア導入費用が嵩む場合もあります。その際は、小規模事業者持続化補助金(一般型)で実施中のインボイス特例の利用も検討してみましょう。
キャッシュレス決済の導入
IT導入補助金では、カード決済・QRコード決済・電子マネー決済など、キャッシュレス決済を導入する際にも補助を受けることが可能です。
例えば、POSレジやセルフレジと同時にキャッシュレス決済を導入するとしましょう。すると追加で、一定の補助を受けられます。補助の対象は、決済端末やバーコードリーダーなどのハードウェア購入費。そして、キャッシュレス決済に伴うサービス利用料です。
ただし、最近増えているスマートフォンやタブレットさえあれば専用端末不要で利用できる無料プランの場合は、IT導入補助金の対象外となります。加えて、IT導入補助金で補助されるのは原則導入にかかるイニシャルコストのみです。また、ランニングコストで補助されるのは最長2年間のクラウド利用料のみです。決済手数料等は補助されないため注意しましょう。
オーダーシステムの導入
セルフオーダーやモバイルオーダー、デリバリーシステムの導入にも、IT導入補助金が利用可能です。例えば、ハードウェア購入費とソフトウェア購入費に加え、最長2年間のシステム利用料が補助されます。
例えば、券売機やタブレット端末を利用したセルフオーダーシステムや、顧客のスマートフォンから利用できるモバイルオーダーシステムを導入しましょう。導入によって個別にオーダーを取る必要がないため人手不足にも対応できるでしょう。デリバリーシステムを導入すれば、販路や商圏の拡大も可能です。
ホームページの作成
IT導入補助金では一定の基準を満たしたホームページの作成も補助の対象です。通常枠では、顧客対応や決済に関するシステムが組み込まれたホームページであれば、一定の補助が受けられます。
例えば、飲食店の店舗やメニューを紹介するWebサイトから、直接注文ができる。また、予約ができたりするホームページであれば、補助率1/2・最大450万円以下の補助を受けることが可能です。
ただし、情報を告知するだけのシンプルなホームページは対象外です。生産性向上や業務効率改善につながる仕組みを有している必要があります。そのため、IT導入補助金でホームページを作成したい場合は、ノウハウを持った事業者に相談してみましょう。
積み重ねたノウハウで飲食店に必要な機能が揃うホームページなら、Smart10。
IT導入補助金の申請方法
飲食店でも、幅広い用途にIT導入補助金を活用できることがお分かりいただけたでしょう。ここからは、実際にIT導入補助金を申請する方法をご紹介します。
IT導入支援事業者を探す
IT導入補助金の活用方法が決まったら、対象のソフトウェアやハードウェアを扱っている「IT導入支援事業者」を探してください。IT導入支援事業者とは、申請者とともにIT導入補助金の申請をサポートする共同事業者です。IT導入補助金は、IT導入支援事業者が事務局に登録します。認定を受けたITツールのみが対象となるため注意しましょう。
認定を受けたIT導入支援事業者やITツールは、IT導入補助金公式Webサイトの「IT導入支援事業者・ITツール検索」から検索可能です。なお、IT導入支援事業者はIT導入補助金の申請を進める上で重要なパートナーです。上記の検索サイトを活用し、信頼できる支援事業者を探しましょう。
IT導入支援事業者と協力して電子申請する
IT導入補助金で導入したいITツールとIT導入支援事業者が決まったら、支援事業者と協力して申請手続きを進めましょう。IT導入補助金の申請は、電子申請となります。申請は申請者自らが入力する項目と、支援事業者が入力する項目があります。そのため、必ずIT導入支援事業者の協力が必要です。
IT導入補助金の申請には、経済産業省および中小企業庁が推進する複数の行政サービスを1つのアカウントで利用できる認証システム「gBizID」が必要となります。さらに、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する中小企業・小規模事業者等が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度「SECURITY ACTION」の宣言が必須です。事前に準備しておきましょう。
IT導入補助金の具体的な申請の流れ
手順 | 実施者 | 作業内容 |
申請マイページへの招待 | 支援事業者 | IT事業者ポータルから申請マイページの招待を行う |
申請マイページ開設 | 申請者 | 1. gBizIDにてログインする 2. 申請マイページから交付申請の作成を開始する 3. SECURITY ACTIONの自己宣言IDを入力する 3. 基本情報等を入力、必要書類を添付、申請類型を選択する |
交付申請情報の入力 | 支援事業者 | 担当者情報、導入するITツールの情報を入力する |
交付申請情報の入力 | 申請者 | 1. 申請要件を確認、賃金情報を入力、申請内容を確認する 2. SMS認証で本人確認を行い、交付申請を事務局へ提出する |
審査 | 事務局 | 1. 事務局や外部審査委員会で審査する 2. 審査を経て事務局は採否を決定し交付決定となります |
電子申請ではさまざまな項目を入力しなければなりません。そのため、事務局が公開している「交付申請の手引き」を確認しておくと安心です。不明点は、事前に支援事業者に確認しておくとよいでしょう。
IT導入補助金が使えるSmart10で売上向上を目指そう
IT導入補助金を利用しホームページを作成したい場合は「Smart10(スマートテン)」の利用がおすすめです。
ここでは、飲食店専門ホームページサービス「Smart10」について詳しくご紹介します。
Smart10は飲食店特化のホームページ制作サービス
Smart10は、株式会社ACTマーケティングが提供する飲食店特化型のホームページ作成サービスです。そして、ACTマーケティングは設立当初から延べ8,000社以上に及ぶ飲食店の販促をサポートしていいます。それらで培ったノウハウを活かしたホームページ作成サービスを提供しています。例えば、ホームページで販促を図りたい飲食店の方など、ぜひACTマーケティングのSmart10を利用してみましょう。
質の高いホームページを短時間・低コストで実現可能
Smart10は飲食店に特化することで、業界最安値水準で高品質なホームページが作成可能です。そして、初期費用には、プロのカメラマンによる料理・店舗・スタッフ3カットの写真撮影が含まれています。さらに、スマートフォン対応・Googleマップ対応・SEO対策なども含まれるため、集客に繋がるホームページが実現可能です。質の高いホームページを短時間・低コストで実現したい飲食店の方には、Smart10がおすすめです。
IT導入補助金の申請や面倒な対応はすべておまかせ
通常、メニューや店舗情報などを掲載したシンプルなホームページはIT導入補助金の対象外です。ACTマーケティングはECサイトに関する豊富なノウハウや実績を持っています。例えば、ECサイトとホームページを組み合わせることでIT導入補助金を利用することが可能です。そしてすべて丸投げで対応のプランとなります。そのため、忙しい飲食店の方でも安心してホームページを作成できます。そこで、IT導入補助金でホームページをはじめたい飲食店の方は、ぜひACTマーケティングにおまかせください。
ワンパッケージで飲食店に必要な機能が揃うホームページなら、Smart10。
まとめ
今回は飲食店が利用できる主な補助金・助成金の種類。また、IT導入補助金を活用した飲食店のIT化事例をご紹介しました。長かったコロナ禍が明け、これから積極的に集客を図りたい飲食店も多いことでしょう。そんな時に強い味方となるのが、国の補助金や助成金です。
特に、今回紹介したIT導入補助金を活用すれば、セルフレジ・キャッシュレス決済・オーダーシステムなどで、店舗の大幅な効率化が実現できます。さらに、ECサイトなどと組み合わせたホームページを作成することで、インターネットでも積極的な集客が可能です。
株式会社ACTマーケティングが提供する飲食店特化型のホームページ作成サービス「Smart10」を利用すれば、短時間・低コストで質の高いホームページを作成できます。そこで、IT導入補助金とSmart10で高品質なホームページを作成し、さらなる集客を目指しましょう。