少子高齢化による人手不足が深刻さが増し、人材獲得競争は一層の激化を見せています。特に飲食店の人手不足は深刻で、求人を出してもなかなか応募が集まりません。小規模な飲食店では、パートやアルバイトスタッフで店舗を回している場合もあります。非正規雇用でなるべく人件費を抑えたい飲食店も多いかもしれません。しかし、正規雇用の正社員にはメリットが多いのも事実です。そこで、当記事では飲食店が正社員を募集する際の注意点や、求人に記載すると良い条件、差別化のポイントなどを詳しく解説します。
目次
飲食店が正社員を募集する際の注意点
なるべく人件費を抑えたい飲食店は、パートやアルバイトで店舗を回しているケースも珍しくありません。しかし、裁量のある正社員には一定のメリットがあるのも事実です。また、パート・アルバイトと正社員の求人では留意すべき点も異なります。ここでは飲食店が正社員を募集する際の注意点を解説します。
採用の目的を明確化する
正社員を募集する場合、まずは採用の目的を明確化しましょう。例えば、以下の内容で求める人材は変わってきます。
- ・将来的な多店舗展開を見据えた店長候補
- ・パート・アルバイトの退職に伴う現業スタッフ
- ・業務拡大や新規事業の立ち上げでの管理職候補
採用の目的が明確でないとミスマッチが起こってしまいます。早期退職につながる恐れもあるため注意が必要です。採用の目的を明確化することで、採用基準も明確になります。
求めるスキルや経験を明示する
採用の目的を明確化し、目的を達成するために必要なスキルや経験を洗い出しましょう。
- ・店長候補を採用する場合は店舗運営能力や店長経験
- ・現業スタッフを募集する場合は一定の調理経験や接客経験
- ・管理職候補であればマネジメント能力やビジネススキル
このように、採用対象によって必要なスキルや経験は異なります。未経験者を採用する場合であっても、コミュニケーション能力や協調性など、ポテンシャルを確認しなければなりません。採用のミスマッチを防ぐためにも、求めるスキルや経験は必ず明示することが重要です。
他店の求人内容と比較する
求人を出してもなかなか応募が集まらない場合は、他店の求人内容と比較しましょう。採用の目的を明確化し、求めるスキルや経験を明示することも非常に重要です。ただし、採用基準が高すぎると思うように応募が集まらない恐れがあります。採用活動が思うように進まない場合は他店の求人と比較し、採用基準を見直すのも一つの方法です。スキルや経験にこだわり過ぎず、将来的な成長が期待できるポテンシャルを重視して採用を進めるのもよいでしょう。
早めに募集を開始する
正社員を募集する際に意外と見落としがちなのが、募集を開始する時期です。正社員採用の場合は、在職中の方から応募が来る可能性もあります。在職中の方は前職を退職するための調整期間が必要となるため、正社員を採用したい場合は早めに募集を開始することが重要です。余裕を持って、入社予定日の3ヶ月前くらいから募集を開始しましょう。特に、オープニングスタッフを募集するときは注意が必要です。オープンの日程が決まっている場合は、必ず求人に勤務開始日を記載してください。
正社員とパート・アルバイトの違い
人員募集する際に、正社員とパート・アルバイトのどちらを募集するか迷っている飲食店経営者も多いかもしれません。非正規雇用のパート・アルバイトであれば人件費を抑えられます。しかし、正規雇用の正社員にはメリットが多いのも事実です。ここでは、改めて正社員とパート・アルバイトの違いを解説します。
雇用形態
パート・アルバイトは非正規雇用に区分されます。いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」においては「短時間労働者(パートタイム労働者)」と定義される雇用形態です。正社員とは異なり一定期間ごとに契約を結ぶ「有期雇用契約」なのが一般的です。契約満了時には退職するか再契約して働き続けるかを選択することになります。
正社員は正規雇用に該当し、「労働契約法」に基づき「無期雇用契約」を締結し労務を提供する雇用形態です。パート・アルバイトとは異なりフルタイムで働くのが一般的です。ただし、労働時間の上限については「労働基準法」によって厳しく制限されています。
給与形態
パート・アルバイトの給与形態は「時給制」が一般的です。「時給制」は、働いた時間に応じて賃金が支払われるのが原則です。賞与や退職金が支給されることはあまりなく、実働時間に応じた時給のみが収入です。ただし、労働基準法に定められた法定労働時間を超えて残業させた場合は、残業代を支給しなければならないため注意が必要です。
一方、正社員の給与形態は「月給制」や「年俸制」が一般的です。固定給に各種手当を加算した一定の賃金が毎月支払われます。業績に応じて賞与を支給したり、退職金を支給したりする必要もあります。そのため、パート・アルバイトに比べると人件費が高くなるのも特徴です。
社会保険への加入
パート・アルバイトは社会保険に加入させる必要はない。そう考える飲食店経営者も多いかもしれません。しかし、労働時間など一定の条件を満たした場合は雇用形態に関わらず社会保険に加入させる必要があります。法人の飲食店は「強制適用事業所」に該当し強制的に社会保険へ加入となります。しかし、個人経営の飲食店は「任意適用事業所」に区分されます。そのため、従業員数に関わらず社会保険への加入は任意です。正社員も同様ですが、雇用形態を問わず労災保険には強制加入となります。なお、保険料の負担については、社会保険料は労使折半、労災保険料は全額会社負担となります。
正社員を雇うメリット・デメリット
飲食店の主要な経費である「FL(Food・Labor)コスト」の観点で見るとパート・アルバイトが有利ですが、裁量のある正社員には一定のメリットがあるのも事実です。ここでは、正社員を雇うメリット・デメリットを解説します。
企業の成長に必要な人材の確保につながる
企業の成長に必要な資源は、「ヒト・モノ・カネ」の3つといわれています。特に飲食店の場合は、「ヒト」がいないと商品である「モノ」を生み出せません。「モノ」を生み出せなければ、当然ですが「カネ」を集めることも不可能です。飲食店が成長するには、「モノ」を生み出す「ヒト」を集める必要があります。特に、多店舗展開の場合は、早期に店長候補となる正社員を確保することが重要です。裁量のある正社員を雇用することで、企業の成長に必要な人材を確保できることは大きなメリットです。
業績を伸ばす生産的な業務に専念できる
飲食店の店長は、調理作業以外にも非常に多岐にわたります。食材管理や売上管理、人材管理、店舗オペレーションなど、行わなければなりません。特に経営者自らが店長を務めている場合は、店舗運営と並行して会社経営を行わなければなりません。いわゆる「プレイングマネージャー」は非常に負荷が高いため、企業の成長に悪影響を及ぼす可能性もあります。店長候補の正社員を採用し店舗運営を任せることで、負荷を分散することが可能です。裁量ある正社員を採用することで、経営者は業績を伸ばす生産的な業務に専念できることは大きなメリットといえるでしょう。
人件費が高くなり調整もできない
裁量ある正社員を採用するには、一定のコストが必要です。非正規雇用で短時間労働のパート・アルバイトと比較すると、正規雇用でフルタイムの正社員はどうしても人件費が高くなります。人件費は必要経費の30%程度を占めるといわれています。人件費が高くなることは、飲食店にとって大きなデメリットです。さらに、時給制のパート・アルバイトと異なり、月給制や年俸制の正社員は人件費の調整もできません。正社員は人件費が高く調整もできない、という点には注意が必要です。
離職時のリスクが大きい
正社員のメリットとして裁量権を与えて責任ある仕事を任せられる点があります。しかし、重要な仕事を任せるほどその正社員が離職した際のリスクは大きくなります。例えば、店長を任せていた正社員が退職してしまったら、途端に店舗運営が滞ってしまう恐れもあるでしょう。大企業であればすぐに代わりの人材を補填できます。しかし、少数精鋭で店舗を回しているような小規模飲食店の場合は特に注意が必要です。正社員は責任ある仕事を任せられる反面、離職時のリスクは大きいということを覚えておきましょう。
求人に記載すると良い条件と差別化のポイント
深刻な少子高齢化の影響で、人材獲得競争は激化の一途を辿っています。特に飲食店は、勤務時間が不規則、接客業に抵抗がある、立ち仕事が多く肉体的にきついなどの理由で避ける方も多く、求人の難しい業態です。ここでは、採用活動を有利に進めるため求人に記載すると良い条件や、差別化を図るためのポイントをご紹介します。
充実した福利厚生をアピールする
他店と差別化を図り採用活動を有利に進めるには、福利厚生を充実させて求人でアピールしましょう。正社員の求人では、健康保険や厚生年金といった社会保険を重視する方も多くいます。特に個人経営の飲食店は社会保険に加入していないケースも多いです。そのため、「社会保険完備」はそれだけで大きなアピールポイントとなるでしょう。加えて、休暇を取りやすい制度や育児休業や介護休業に関する制度を取り入れましょう。だれにでも、働きやすい環境をアピールすることも重要です。その他飲食店ならではの福利厚生としては、まかないの提供や補食費の支給なども人気の高い制度となっています。
労働条件は特に細かく記載する
労働時間や給与など、労働条件は特に細かく記載するように気をつけましょう。営業時間の長い飲食店の場合は、シフト勤務などの勤務形態や、実働時間などを明示することも重要です。残業の有無や、「固定残業代制度」いわゆる「みなし残業」を採用している場合は、みなし残業時間についても記載してください。労務管理がずさんな飲食店も多くあります。労働条件を明確に記載することはそれだけで「管理が行き届いた会社である」というアピールにつながります。逆に、労働条件が明確でないとミスマッチが起こって早期退職につながります。さらにそれだけでなく、労働基準法に違反する恐れもあるため注意が必要です。
店舗やスタッフを紹介する写真を掲載する
店舗やスタッフの写真を掲載し、職場の雰囲気を具体的に伝えるのも良い方法です。事前に店舗やスタッフの写真を見ることで職場のイメージを掴めます。また、事前に確認できることでミスマッチも最小限に防げます。オープン前に正社員を募集する場合は、店舗内外装の完成予想図やコンセプト画像、メインメニューの写真、制服のデザイン、多店舗展開している場合は系列店の写真などを掲載するのも有効です。職場の雰囲気を具体的にイメージしてもらうことが、差別化やアピールにつながります。
分かりやすい採用ページを用意する
効率的に採用活動を進めるには求人サイトなどを活用することも重要です。しかし、差別化を図って独自性を打ち出すには、自社のWebサイトに分かりやすい採用ページを用意するのも有効な方法です。求人サイトによっては、写真の掲載枚数に制限がある場合もあります。自社の採用ページであれば、そのような制限を気にすることなく、自由に自社の魅力をアピールすることが可能です。また、求人サイトへの掲載には一定のコストが必要ですが、自社の採用ページを作成すればそのようなコストはかかりません。低コストで確度の高い採用活動を行うには、自社の採用ページがおすすめです。
飲食店の採用ページ作成は「Smart10」におまかせ!
低コストで確度の高い採用を実現できる採用ページは魅力的ですが、ノウハウがなく自社では作れないとお考えの飲食店経営者も多いかもしれません。そのようなときにおすすめなのが、飲食店専門のホームページ制作サービス「Smart10」です。Smart10は株式会社ACTマーケティングが運営する飲食店専門ホームページ制作サービスで、業界最安値水準の圧倒的低価格で求人に有利な採用ページを作成できます。プロカメラマンによる店舗やメニューの写真撮影に加え、制作完了後のアフタサポートも充実しているため、ノウハウのない方にも安心です。Smart10で採用ページを作成し、自社の魅力を存分にアピールしましょう。
まとめ
今回は飲食店が正社員を募集する際の注意点について解説しました。FLコストが経費の大半を占める飲食店は、パートやアルバイトで店舗を回しているケースも珍しくありません。人件費の観点で有利なのは非正規雇用ですが、正規雇用の正社員はメリットが多いのも事実です。しかし、特に求人の難しい飲食店が優秀な人材を獲得するのは、簡単なことではありません。採用活動を有利に進めるには、福利厚生を充実させたり、採用ページで自社の魅力をアピールしたりする方法があります。求人に強く魅力ある採用ページを作成するには、飲食店専門のホームページ作成サービス「Smart10」がおすすめです。