キャッシュレス決済の導入により、現金を使わずにクレジットカードや電子マネー、QRコードなどキャッシュレス決済の需要が年々増加傾向にあります。
実際には、キャッシュレス決済の導入により集客数が上がった店舗もあるようです。
アフターコロナで地元の顧客だけではなく、インバウンドの飲食店利用も回復傾向にあります。インバウンドや若年層でも来店しやすい飲食店が今後伸びていくでしょう。
そんな中、キャッシュレス決済を導入しない理由として「お客様からの要望がない」「手数料が高い」「導入のメリットや実感ができない」などの声も多くあるようです。
今回の記事では、キャッシュレス決済を導入するメリットと実際に導入する際の手順を説明していきます。
目次
飲食店でキャッシュレス決済を導入するメリット
経済産業省の調査によると飲食店の8割がキャッシュレス決済を導入しているようです。
(引用):経済産業省 「キャッシュレス決済実態調査」(2021年6月18日)
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618002/20210618002-1.pdf
飲食店のキャッシュレス決済導入は、顧客に対するメリットとお店側に対するメリットがあります。
お店側のメリット
・時間と人材が有効に活用できる
飲食店の大きな課題が人手不足。キャッシュレス決済を導入すると、1組あたりの会計が時短化されます。
現金に比べてお釣りのお渡しなど支払いの手間が減ります。さらに接客がスムーズになりま す。人材不足を回避できる他、あらゆる業務で時間を有効活用できるでしょう。
・レジ管理が簡易化される
飲食店は閉店時に、現金の集計業務などのレジの締め作業があります。
現金を数えたり、使用済みクーポンの集計などタスクが多いです。キャッシュレス決済の場合、対応している端末などが自動で支払いを集計してくれるためレジ管理が簡単になります。
・現金誤差のリスクが軽減される
「現金会計でお釣りを多く渡してしまった。」飲食店でありがちですね。集計時に発覚する現金誤差です。
キャッシュレス決済の場合、対応の端末に数字を入力して(またはお客様に金額を入力してもらう)決済します。そのため、計算ミスのリスクが軽減され、精度が向上します。
・インバウンドや若年層を集客できる
中国などの海外では、キャッシュレス決済が一般化されています。一方日本では、最近になりキャッシュレス化された飲食店やスーパーが増えてきました。飲食店を利用するインバウンド客は、キャッシュレス決済が可能な飲食店に集まります。
また、キャッシュレス決済はインバウンド客だけでなく、Z世代と言われる若年層にも需要が高まっています。幅広い層の来店が見込まれるでしょう。
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顧客側のメリット
・現金が手元になくてもお店を利用できる
現金が手元にない状態でも、飲食店を気軽に利用できる時代になりました。
支払い方法の種類が選べるので利便性も高く、若年層だけでなく高齢層の需要も高いようです。つまり、キャッシュレス決済を導入している飲食店は、ターゲットの幅が広がっています。
・会計がスムーズになる
飲食店で会計をする際に小銭を用意する必要がありません。お釣りを仕舞う手間が省けてスムーズな支払いが可能です。
また、支払う金額を把握しやすいため支払い時のミスを防ぐことができます。
最近では、レジまで行く必要もなくなりました。テーブル上にあるQRコードを読み取ってその場で会計を済ませられます。キャッシュレス決済のさらなる効率化が進んでいる飲食店も増えてきているようです。
・ポイント還元やキャッシュバックなどが受けられる
キャッシュレス決済を利用すると、さまざまな特典が受けられます。例えば、各決済サービスの提供元からのキャッシュバックやポイント還元です。これにより、顧客側は実質の金額より安く飲食店を利用可能です。
・衛生的安心・安全につながる
現金会計のように、お店のスタッフから直接手渡しでやりとりする必要もありません。さまざまな人が触れた現金に触れずに、会計を済ませることができます。コロナの感染防止対策にもつながっています。
キャッシュレス決済の種類
キャッシュレス決済の種類がコロナ禍以降増加している傾向にあります。現時点の主なキャッシュレス決済の種類は大きく分けて5種類です。
クレジットカード決済
クレジットカードを所有していれば決済できる方法です。決まった月日に引き落としされます。飲食店の事業者側がカード会社から保証を受けているため、安心して利用できる決済方法です。
デビットカード決済
クレジットカードの様に翌月に引き落としではなく、決済すると即時に引き落とされるシステムがデビットカード決済です。口座に残高がある状態でのみ使用できます。
カード会社からの保証は受けることはできません。ただ、手数料が安いことや、利用限度額もないため使い勝手はいいでしょう。
3.電子マネー決済
電子マネーは、現金をチャージしているカードタイプ。主に交通系ICカードや、ID、quickpay、楽天Edy、nanacoが主流です。
筆者の私が飲食店で8年間、レジ会計の経験をしている中では、先述した電子マネー決済が主に使われていました。
コード決済
コード決済とは、QRコードやバーコードを専用の端末で読み取り、決済を行う方法です。
2つの方法を紹介します。ひとつは、お店側が用意したコードをお客様のスマートフォンで読み取り決済を完了する方法(店舗提示型)。
もう一つはお客様がスマートフォンでコードをスタッフに提示。お店側が専用の端末で読み取って会計 する方法(消費者提示型)です。
現状、主にPayPay、LINEpay、au pay、エアペイ、楽天ペイ、メルペイなどが挙げられます。
スマートフォン決済
スマートフォン決済とは、スマートフォンに内蔵されているNFC機能(かざすだけで通信できる規格)を利用して決済する方法です。
交通系ICやIDなどをスマートフォンと連携させて、専用の端末にかざすだけで決済が完了します。カードを持ち歩く手間が省けるなどセキュリティ面でもメリットがあります。
飲食店がキャッシュレス決済を導入するまでの手順
飲食店でキャッシュレス決済を導入するまでの手順を簡単にご紹介します。
各サービスによって異なる場合もありますので、手数料やレジに対応できるサービスなどを各社比較検討する必要があります。
1.契約するキャッシュレス決済サービスを決める
飲食店の場合、元から使用しているPOSレジ(販売情報を集計するシステムを搭載したレジ)をそのまま使用したいという方もいらっしゃると思います。多くのキャッシュレス決済サービスは、既存のPOSレジとの連携が可能です。連携方法は各種サービスによって異なります。事前に問い合わせをして確認しましょう。
2.サービスに申し込む・契約する
キャッシュレス決済サービスの申し込みと契約を行います。
契約前に確認しておくべきことは、導入する決済方法・導入から維持管理にかかる料金・入金のサイクル・導入までにかかる日数などが挙げられます。
契約してから急な変更はできないところが多いため、導入前の念入りな情報収集が重要です。
3.端末の設定や専用のアプリをダウンロードする
POSレジとキャッシュレス決済専用端末を連携するための各種設定を行います。
専用のアプリはPOSレジにキャッシュレス決済専用のアプリをダウンロードまたはインストールします。POSレジの会社がキャッシュレス決済の端末などを販売している場合、簡単に連携も可能です。一般的には、事前にキャッシュレス決済サービスとの契約を結ぶとスムーズです。ただし、途中で契約される場合はサポートデスクに問い合わせて確認する必要があります。
4.連携テストと従業員とトレーニングを行う
キャッシュレス決済を正しく使用できるかテストを行ないます。
キャッシュレス決済サービス会社の担当の方と一緒にテストを行ないましょう。万が一、不具合が起きた場合、即座に対応してもらうためです。連携して問題がなければ、従業員とトレーニングを行ないましょう。正しい使い方でスムーズに会計を進められる様に事前に使い慣らしておかなければなりません。
いざ不具合が生じた時の対応方法などもトレーニング時に決めておくことが重要です。
飲食店でキャッシュレス決済を導入する際の注意点
飲食店がキャッシュレス決済を導入する前の注意点は5つあります。
導入する際のコストを確認
自分のお店に最適な決済手段を選定しなければなりません。
近隣の飲食店がどんな決済手段を導入しているか確認し、参考にしてみることもおすすめです。顧客が利用しやすい決済方法を選びましょう。
スタッフへの訓練と教育
キャッシュレス決済システムを導入する際に、スタッフが正しい使い方を理解しておく必要があります。また、決済時にシステムエラーなどのトラブルが発生する場合も稀にあります。トラブル時の対応方法などについてもキャッシュレス決済サービス会社に確認しておくと良いでしょう。
端末を設置する場所を確認
飲食店のレジ周りにキャッシュレス決済専用の端末を設置する場所を確保します。
事前に端末のサイズなども確認し設置場所を選定します。
セキュリティの確保
キャッシュレス決済では、セキュリティ面のリスクに備える必要があります。事前に必要なセキュリティ対策を実施しておきましょう。
クレジットカード番号などの顧客情報が漏洩しないための万全な対策が必要不可欠です。
顧客への周知
キャッシュレス決済の導入を顧客へ周知するには、2つの方法があります。
1.店舗の前に「キャッシュレス決済導入店舗」と書かれているステッカーなどを貼る。
2.自分のお店のホームページやSNSなどにキャッシュレス決済を導入したことを告知・宣伝する。
あらかじめ告知しておけば、新規顧客の獲得にもつながります。
まとめ
キャッシュレス決済は自店のHPやSNSで宣伝しておきましょう。
今回の記事は、飲食店がキャッシュレス決済を導入する際のメリットと手順について紹介しました。
キャッシュレス決済の導入で、顧客の利便性向上や新規顧客の獲得などが見込めます。今後の集客にも大きく役立つことでしょう。
飲食店側の課題として挙げられている、人材不足の解決による経費削減にもつながります。お店側と顧客側が大きなメリットを得られます。
キャッシュレス決済を導入する際に重要なのは、ネットや店前での告知や宣伝です。
信頼性の高いホームページや若年層やインバウンドが多く閲覧するSNSを利用した周知が効果的になるので、ぜひ活用してみてください。