近年は食品ロスが大きな社会問題になっています。世界では約13億トンもの食料が捨てられています。また、日本で2017年度に発生した食品ロスは約612万トンと推計されました。これは世界における1年間の食料の3分の1に相当するボリュームです。
この数値を国民1人当たりに換算すると、お茶碗1杯分のまだ食べられる食品を毎日廃棄していることになります。こうした食品ロスは飲食店においても大きな問題となっています。現在も解決に向けて、日々議論が組み交わされています。そこでこの記事では飲食店における食品ロス問題に注目します。食品が無駄になってしまう主な原因や実施できる対策について解説しました。実際の飲食店による食品ロス対策の成功事例についても詳しくお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
目次
飲食店における食品ロスが問題になっている
まずは、飲食店における食品ロス問題の概要や主な原因について解説します。
飲食店における食品ロスとは
そもそも食品ロスとは、本来であれば食べられたはずの食品が捨てられている問題のことです。日本の2017年度に発生した食品ロスは約612万トンです。その内、外食産業は全体の約20%に該当する127万トンの廃棄が発生しています。中でも東京都では年間約51万トンの食品ロスが発生しています。その半数は外食産業によるものでした。普段利用している飲食店においても、さまざまな理由から食材が廃棄されているかもしれないのです。世界では思うように食事を食べられずに栄養不足で困っている人々が数多くいます。こうした食品ロス問題は早急に取り組むべき課題となっています。
飲食店で食品ロスが増える主な原因
飲食店で食品ロスが増える主な原因についてまとめてみました。
必要以上に仕込みすぎる
お店に計画通りにお客さまが来るとは限りません。予想よりもお店の利用客が少ないと、仕込み過ぎた料理は処分しなくてはならないのです。天候の変化などによっても客足は変化します。過不足のない仕込みを行うために苦労する店舗は少なくありません。
食材の保存方法が悪い
飲食店で扱う食材は保存方法が悪いと傷んでしまいます。例えば、野菜や果物といった食材は、保存方法が悪いと損傷が早くなってしまいます。味に問題がなくても見栄えが悪くなってしまうとお客さまには提供ができないので、食品ロスにつながってしまうのです。
利用者の食べ残し
利用客の食べ残しが発生すると、飲食店としては処分しなくてはなりません。昨今ではSNS映えする大盛りメニューが人気です。しかし、食べ残しが発生すれば食品ロスにつながってしまいます。
飲食店ができる食品ロス対策
飲食店がすぐに実践できる食品ロス対策について見ていきましょう。
来店数を予測する
来店数を予測して飲食店の仕込み過ぎや仕入れ過ぎをなくしましょう。予測を長年の経験で行っているお店もあるかもしれません。しかし、データの蓄積によって来客数の予測の精度をアップすることが可能です。来店数を記録できるレジスターなどを活用すれば、お店の来店数の傾向が見えてきます。曜日・時間帯・天気・季節ごとにデータを分析できれば、当日の来店数を予測できるようになるはずです。昨今ではAI技術を活用して飲食店の来店数などを予測するツールも登場しています。蓄積してきたデータを根拠にして食材の準備を行うことで、食品ロスを削減しましょう。
メニューを見直す
既存のメニューを見直すことでも食品ロスを改善できます。例えば、ご飯の量を調整できるようにすれば、食べ残しリスクを減らせます。現状としてご飯の小盛りを選択できる飲食店は多くありません。結果、結果、小食の方は不本意ながら残しているケースも少なくありません。また、健康志向から炭水化物を少なめにしている方も目立ちます。そのため、ご飯の量を調整したいというニーズは強くあります。
そうした際にご飯の量を調整できれば、お客さまの食べ残しを防止できます。ほかにも、限定数を設定した売り切りメニューの導入も効果的です。保存に問題がある食材を使う場合に、ランチ限定10食といったようにあえて制限を設定することで食材の余計な廃棄を減らせます。
お持ち帰りできるようにする
食べ残した料理をお持ち帰りできるようにしてみましょう。持ち帰り用容器としてドギーバッグなどを用意しましょう。残した料理を処分せずにお客さまにご自宅などで食べてもらえます。お持ち帰りをお店の文化として定着できれば、食品ロス削減に向けて大きく前進できます。
ただし、衛生面の観点からは注意が必要です。常温にしばらく置かれた料理は、提供後すぐの状態の料理と比較すると食中毒のリスクが高まってしまいます。そのため、持ち帰りには十分に加熱された食品を提供しましょう。その際、加熱が不十分な料理はお持ち帰りを断るなどといった対応が求められます。もし、外気温が高い場合には持ちお持ち帰りを休止するか、保冷剤を提供するなどといった工夫をしましょう。
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飲食店が食品ロス対策を行うメリット
飲食店が食品ロス対策を行とどういった効果が期待できるでしょうか。代表的な3つのメリットについてお伝えします。
廃棄コストを削減できる
飲食店が食品ロス対策を行うと廃棄コストを削減できます。全国のごみ総排出量は毎年約4,000万トンです。これはごみ処理を行うためには税金で約2兆円のお金が必要となる量です。飲食店の食品ロスの2017年に発生した127万トンの食品ロスを当てはめてみましょう。計算すると、約635億円もの税金が廃棄コストに捻出されていると考えられます。食材が消費されずに無駄になっただけでなく、処分するためにも余計な費用がかかってしまうのです。飲食店が食品ロス対策を積極的に実施して食材などのゴミを減らせれば、こうした廃棄コストを削減できます。
材料費や人件費を減らせる
効果的な食品ロス対策を行えば、材料費や人件費を減らせます。飲食店で食材を用意して、料理の準備を行うためには材料費や人件費が必要です。実際の来店数よりも多く準備をすると、余計に材料費や人件費が発生してしまいます。そうした際に食品ロス対策を行って事前に必要となる食材の量を正しく把握できれば、仕入れる原料や調理する料理の量を調整できます。さらに、材料費や人件費などのコストを減らせれば飲食店の利益率は上昇します。食品ロスの対策を取ることで、より安定した経営を行うことが可能です。
地球環境に貢献できる
飲食店が食品ロス問題に取り組むことは、地球環境の改善にも貢献できます。食品ロスが発生しているために大量のゴミが廃棄されているとお伝えしました。食材などのゴミの焼却には二酸化炭素が発生します。そのため、地球全体の温暖化の原因になってしまいます。国連食糧農業機関の報告によると、食品ロスに関連して発生する世界の二酸化炭素の排出量は年間約37億トンです。これは世界全体の温室効果ガスの約8%を占めているといいます。食品ロス問題を解決することは、こうした地球環境問題の解決にもつながるのです。
飲食店が食品ロス対策を行った成功事例
さまざまな飲食店が食品ロス問題を解決するために対策を行っています。ここでは成功事例として3つの企業の取り組みについて解説します。
モスフードサービス
モスバーガーの運営元であるモスフードサービスは、セカンドハーベスト・ジャパンによるフードバンク活動を食品サポーターとして支援する取り組みを行っています。セカンドハーベスト・ジャパンは日本で初めて2002年に法人化されたフードバンクです。安全性が保証された食料を生活困窮者に供給する活動を展開するために設立されました。
モスフードサービスでは食品の無償提供を行っております。対象としては品質に問題はないものの賞味期限が短いものです。例えば、出荷から販売期間までを考えると廃棄しなければならない食材などです。より具体的には定番メニューの食材はほとんど使い切れるそうです。しかし、季節商品では販売期間に売り切れない在庫が発生するといいます。そうしたまだ十分に食べられる食材が、フードバンク活動を通じて児童養護施設・母子生活支援施設・障害者施設などに届けられているのです。
日本マクドナルド
日本マクドナルドではメイド・フォー・ユーという独自のシステムを導入しています。メイド・フォー・ユーとは注文を受けてからバーガーなどを調理するマクドナルドオリジナルのシステムです。できたての美味しさを提供するだけでなく、食品廃棄を可能な限り削減することを目的に開発されました。2005年にマクドナルドの全店において導入が完了し、メイド・フォー・ユーの導入前と比較すると完成品商品の廃棄は半分以下に削減されたといいます。このメイド・フォー・ユーはエネルギー・二酸化炭素削減や廃棄量削減、再生利用などで顕著な実績をあげている事業者などを表彰する「食品産業もったいない大賞」を受賞しています。
吉野家
吉野家では玉ねぎの端材を乾燥パウダーにする取り組みが行われています。玉ねぎは1日約10トンを加工しているといいます。その内、規格外となった玉ねぎの端材は全重量の約5%分発生してしまうそうです。吉野家ではこの玉ねぎ端材を乾燥処理して、食用パウダーとして利用しています。このアップサイクルの取り組みが2023年よりスタートされました。玉ねぎの端材は専用の機器によって加工されます。そのため、食材の風味の劣化と酸化を抑えられ、栄養価を残しながら瞬時に乾燥・粉末化されます。乾燥パウダー化された玉ねぎはパン製造業者に供給され、食品ロスの削減が実現されるようになりました。
Smart10でホームページを作成して食品ロスの取り組みをアピールしよう
飲食店で食品ロスの取り組みを実施していたら、ぜひSmart10でホームページを作成してアピールしてみましょう。Smart10では飲食店のホームページ制作を専門に行っており、8,000社以上の販売実績があります。特に集客につながる高品質なホームページ制作を得意としています。、忙しい飲食店の方々のために考え抜かれた仕組みが採用されています。
まず、Smart10であれば丸投げでホームページが作れるため、面倒なエクセルへの入力といった手間は発生しません。打ち合わせも全てリモートで完了できるので、誰でも気軽に理想のホームページを作成できます。さらに、専属のプロのカメラマンが撮影を担当します。SNSにも活用でき、周りと差がつく料理や店内の写真を掲載できます。もちろん、食品ロスの取り組みのPRページ作成など、ホームページに関する相談はすべてSmart10にお任せください。Smart10でホームページを作成して、飲食店の集客もイメージもアップさせましょう。
まとめ
飲食店にとって食品ロスは解決が求められている問題です。さまざまなコストがかかってしまうだけでなく、二酸化炭素の排出といった環境問題にも直結しているためです。そうした課題の解決に向けて飲食店ではさまざまな取り組みを始めています。特に、食材の再利用や食べ残しを減らすための工夫が広がっています。当たり前に行われている食材の廃棄といった問題に改めて向き合うことで、食品ロスをなくすための施策をぜひスタートさせてみましょう。