こんにちは、『忙しい飲食店様のために特化したホームページ制作 – Smart10』のライターチームです。
コロナ禍で、飲食業界は採用事情も大きく変化がありました。
この記事では、そんな時代背景にありながらも、採用に対する独自の考え方をうまく現実にアジャストしている店舗の事例をご紹介しながら、みなさんの参考にしていただければと思います。
目次
ウィズコロナ時代のスタッフ採用で考えないといけないポイント
紙媒体とWeb媒体
飲食店のスタッフ採用として、最もオーソドックスな採用手法が、すでに一般化しているR社やA社のフリーペーパー。 比較的年齢層を広めにした閲覧ユーザーを抱えており、パート採用の王道手法だといえます。
比較的都市部の駅構内やコンビニに無料設置されているので、地域で仕事を探しているターゲット層にマッチする広告だといえます。
検索エンジンとの有料連動型広告も増えてきています。
しかし厚生労働省が公開しているデータによると、調理スタッフ関連の有効求人倍率は2.47倍であり、接客や給仕関連のホールスタッフの有効求人倍率は2.70倍となっています。
他の全職種における平均有効求人倍率と比べると、なんと1ポイント以上も高いという状況です。 しかもこのデータは2020年4月の統計なので、コロナ禍で最も飲食業界が打撃を受けている状況下での数字だと推測できます。
つまり、コロナ禍でさえも飲食店のスタッフ採用は厳しい状況であったといえます。
アグリゲート型求人検索表示
世間がコロナ禍に陥る以前から注目され始めているのが、アグリゲート型求人エンジン検索表示です。 これは、「しごとさがしは~♪」のテレビCMでも知名度を上げているI社の仕事検索の取りまとめサイトに代表される手法です。
これらの検索エンジンに、様々な求人情報が表示されるというものです。無料の表示と有料の表示があります。 ほかにも、K社やS社のほか、無料での情報提供検索エンジンとして、G社が注目されており、新たなトレンドとなっています。
では何故、これらのアグリゲート型求人エンジンが注目されているのかというと、インターネットで実際に検索してみればわかります。
自分が、「どんな仕事を」、「どこで」、「どのような条件で」という仕事の探し方をした場合に、そのエンジン露出が上位にくるからなのです。
比較的年齢層が若く、スマホを使いこなしているユーザー層からすれば、「バイトしたい」と思ったときにすぐに探せるタイミングにあるのがインターネットというルールだからです。 駅でフリーペーパーを探す必要がありません。半面、気軽に検索できるので、入店動機の強さや弱さを見極める必要があります。
飲食店コンテンツサイト
他に、飲食店専門の仕事やお店紹介などの飲食に関する総合サイトが、求人情報を有料掲載している場合もあります。
これは、求人広告のWebメディアの飲食情報特化型サイトといえます。
位置づけとしては、求人広告サイトに近い位置づけです。 経営寄りのサイトが多いため、アルバイト希望や社員希望の方へのインターネットでの導線が薄い場合もありますので、費用対効果をよく検討する必要もあります。
コロナ禍で注目のリファラル採用
飲食業界ではすでになじみのある手法かもしれません。すでに勤務しているスタッフと人間関係があるスタッフを紹介してもらって採用するという採用方法です。
学生がアルバイトで勤務している飲食店なら、クラブの後輩が先輩の引継ぎで入店するとか、常用スタッフの兄弟や姉妹があらたに入店するといったケースです。 しかし、これらの場合は人間関係があらぬ方向に影響してしまい、どちらかのスタッフが退職する場合に一緒に退職するといったケースも生じてきますから、注意が必要です。
以上のような基本的な採用手法のカテゴリーをふまえて、コロナ禍でも行政の時短ガイドラインに即しながら人気店でありつづけ、またスタッフの採用にも成功しているお店のご紹介をいたします。
コロナ禍における採用実例を紹介。「おら鴨」インタビュー
大阪市中央区の法善寺で予約の絶えない超人気鴨料理店「おら鴨」の経営者、上村貴也さんにお話をおうかがいしました。
コロナ禍のスタッフ採用
(スタッフ)コロナ禍でのスタッフ採用についておうかがいします。
(スタッフ)飲食業界では、オープンやリニューアル時は募集が集まっても、そうでない時の緊急時の社員やアルバイトの採用の仕方、洗い場やホールスタッフが急に辞めて困っているという声を聴きます。
(上村さん)僕の経験とか考え方、ということでお話します。
今、コロナ禍の状況で起こっていることは、緊急事態宣言であったりとか、まん延防止措置などが、急に発令されたり、解除されたりするということですよね。
まあ、お客様商売ですから、そうでなくても、店を開けたり締めたりするところもあるわけですが、自分の店に関しては、コロナになってからも休業しているっていう状態はなかったです。
その理由として、やっぱりアルバイトが働くことができない状態があったりなかったり…というシフトを作ったら、ダメだろうっていう考え方を持っています。
誰もやめない仕事環境
(上村さん)基本的には、通常どおりで営業して、最低限でも2時間~3時間、通常は、6時間単位で入ってもらうんです。
だけど、コロナ禍。それでも半分ぐらいは入ってもらうっていうことを実行していました。 お客さんが一組しかいない時でも。そういう運営をしていたので、誰もやめていないんです。ただし、その分のお金(給料)を払わんとあかん、っていうのもありますが。
本音を言うと、アルバイトに対して雇用調整助成金申請を出すのもかなり手間なんです。
もし、雇用調整助成金でお金を払ってあげたとすると、休んでいても給料がもらえるラクな状況でっていう風な感じになります。
一見、お店もバイトスタッフもラッキーだと思える状況に見えます。しかし、そうなってくると、アルバイトの子らとかがもう働かなくなるし、休んでる時に他のところでバイト行ったりとかしたり、職場離れが起こると思います。
(上村さん)大切なことは職場に来てもらう、ということなんです。そう思ったんで、僕は払う給料は少なくはなるけど、こういう状況でもかならず仕事場所は提供する!と。
仕事に来てもらい続けますと、みんなに話し続けてきました。お客さんの方も、いつも通り来て下さるお客様がいて、そのお客さんが、あそこは空いてるなら行こうかなと思ってる常連さんがいますので、スタッフもそれなら…ってなるんですよね。
コロナ禍でしたから、例年通りとは行かなかったですけど。3割~5割でもお客様が来てくれたら、従業員の働く場所にはなるので、店は休業せずに開けている状況を作っていました。
スタッフの退職防止の重要性
(スタッフ)一旦退職してしまうと、またゼロから採用して教育していかないといけませんからね。
(上村さん)そうなんです。実際まん延防止措置が終わって、店を再開するんでアルバイトさん戻ってきてと言っても、一旦離れたスタッフは、それまでの間の収入がゼロなら、他のところでアルバイトしようってなりますから、そうなると戻ってきてくれませんよね。
いよいよ稼働し始めてまた忙しくなったから、募集しないとあかんってなると、そのサイクルに追いつかへんみたいな悪循環。
従業員とかの事情ってそんなに都合よくっていうわけにいかないものですよ。
だから、継続的に一緒に働くっていうのが、このコロナ禍で凄く大切だなと思っています。
急に困らないための準備
(スタッフ)コロナ禍以前も含めて、アルバイトさんが急にやめて困ったことはありますか。
(上村さん)僕が経営しているのはまだ1店舗だけなんで、アルバイトとうまく付き合いをできるような状況作りをしています。だから、アルバイトが急に止めて困ったなというのはないです。
でも実際にそういう状態になったら、どうしていったらいいのかなっていうのとか考えると、求人広告を手配して早急に準備したあとは、結局は耐えるしかないって思います。
洗い場担当がいないから、今日はお店休みますっていうのはできませんよね。今いるメンバーで乗り切るしかない。
来週から募集広告載せますよとか、色んな広告媒体のスケジュールの都合や制限があって、なんだかんだで半月から一ケ月ぐらいのタイムラグが発生します。
コロナ禍だからこそ考えられる採用活動で費用をかけるべきポイント
(スタッフ)そういう時の、さらに気を付けるべきことはありますか。
(上村さん)条件として、この給与でこの時間だけ手伝いに来てくださいっていうのがありますが、こっちは困っているから、その分の単価は上乗せしますっていうのが大事ですね。
困ってるからたくさんお金出しますっていう発想で、その日とか一か月を乗り切るっていう発想です。
広告費はできるだけ絞って、その分アルバイト代にお金をかけます。コロナ禍でシフトに入ることができないというニュースもありましたが、今はそんな状態から抜け出していると思います。
あとは、人の募集は、急に採用できないので常に募集できるようなサイトの準備が必要だと思っています。
ずっと募集しているっていうのがいいですよね。
スタッフを甘やかすことの意味
(スタッフ)例えば、スタッフが辞めないような人間関係とか、何か工夫されてることってありますか。
(上村さん)一番大事にしてるのは、スタッフを「甘やかす」ことです。ウチに入ってくれているバイトさんって、学生さんが多いんです。
学生って、言ってみればまだ不安定な人間ですよね、怒り過ぎても嫌になって辞めるし。
昔だったら、怒られるっていうことは、期待されていることの裏返しだと思って頑張ろうって思う人間もいましたが、現代の学生さんたちは、頑張って働こうっていう発想はないですね。それはコロナに関わらず、時代の流れなので、仕方がありません。
責任を持たせない
(上村さん)だから逆に、失敗しても絶対に怒らないし、責任を取らせない。
今の学生さんたちが一番嫌うのは、責任を取らされるっていうことです。
もし仮に失敗しても、僕ら正社員の責任やし、失敗してもいいよっていうような状況を作っておけば、逆に意外と失敗しないし。
ある意味、気負わない状態で働いてくれるのが、一番いいですね。緊張してる状態でプレッシャーを与えて働いてもらう。ガチガチのルールの中で働かざるをえないと、一個ミスしたらどんどんミスするものなんです。
だから基本的にルールを作り過ぎないっていうのと、必要以上に責めないことがポイントですね。 おそらく他の飲食店でもよくあるのが、「今日バイトのシフト入ってたのに、すみません休みます。今朝から体調悪くって…」というパターン。
開店前の当日に電話が入ってくると、「いやそんなに急に言われても、お店も困るやん」って言いたいかもしれませんけど、本人さんにとってみたら「病気だから仕方がないし」みたいな状況はあるんですよね。
実際は、病気かどうかも分からないですけど。
でも、そんな状況を問い詰めないことが大事。コロナやインフルエンザになり重症化する恐れだってありますから、「OK、OK、休んでいいよ、でも、明日予定入ってるので大丈夫か?」って言うしかない。
結局、こっちの感情を向こうにぶつけたり、こっちの状況を相手にプレッシャーを与えるような状況も全くうちは作らないですね。
あとは、多少人が一人欠けてもなんとかできるオペレーションを作っておくとか、日頃から対応していますね。そういう点からいっても、簡略化したり機械化できる部分は、DXとかWebとかで合理化しておきたいですね。
採用に関しては、単にスポットの採用における媒体選択だけではなく、日頃からスタッフが継続的に働く環境がある工夫によってやめない状況づくり、中長期的に応募が入ってくる状況づくりが肝となります。
さらに、コロナ禍のような天災に近いような状態に陥ったり、その日、その時の時代背景で配慮が必要です。同時に若い人の気質や置かれた環境を考えたスタッフへの配慮など、他の業種とはちがった専門的な対応が求められます。
飲食業界の採用に関するご相談は…