この記事では、アルバイトスタッフを4タイプ別に分類し、育成の進め方を考えてみます。
アルバイトスタッフが成長できる方法についてまとめてみました。
この記事は、アルバイトさんに育成を任されたバイトリーダーの方々や店長の方、または採用後、初めてアルバイトの方との交流を深めていく飲食店経営者の方々の参考になれば幸いです。
目次
今から紹介するのは4つのタイプ別に分けた育成の方法です。
この育成手法は「レディネス」と言われており、飲食店の他にも部下の育成の手法として使われています。
では、この「レディネス」を飲食店での育成で取り入れる場合、どのようにコミュニケーションを図りながら取り入れていくのかを具体的に説明していきます。
■タイプ①能力が高い+意欲がある
このタイプは、雇用する側からすれば即戦力になる人材ですよね。
1伝えると10やってくれるみたいな人材です。
ただ、お店にとって好条件な人材ほど当人に負担がかかりやすく、最悪の場合、離職につながるケースが多々あります。
そんな有能な人材を手放さないための育成方法を2つにまとめました。
新しく業務を教える時は、一通り実践させて習性を知る
業界経験もあり、やる気に満ち溢れた有能な人材に対してはどんどん実践してもらいましょう。
新しく仕事を覚えて成長していくことが、当人のモチベーションアップに繋がる重要な要素です。
その際に当人の習性をチェックしましょう。
動きの癖や状況によってどのように対応していくのかといった観点に留意してください。
修正すべきところは、その場で即修正を行いましょう。
ただ、経験豊富な人材こそ、自己流の自信が暴走を生み出し、誤った方向に向かうこともあります。
修正点は慎重にチェックしておくことが大事です。
定期的なヒアリングを行い、信頼関係を築く
定期的に当人の現状をヒアリングしてあげましょう。
初出勤の場合であれば職場に対する対応意欲は高いのですが、職場の雰囲気が掴め慣れてきた状況になると、本人の職場に対する要求や希望が出てきます。
例えば、「シフトの時間を固定にしたい」「キッチンをメインにやりたい」といったケースです。
希望はできる限り聞いてあげるのが良いのですが、無理がある場合は必ずその理由を伝えたうえで本人に納得してもらい、別の方法を提案してあげるのが大事になります。
「無理なものは無理!」といった拒絶態度はご法度です。
モチベーションが下がる最大の原因となります。
入社から心情の波がきやすい3ヶ月目に、1度はヒアリングの時間を設けましょう。
ヒアリングは回数が多いことに越したことはありません。
ヒアリングにより信頼関係が深まることで、有能な片腕として活躍してくれるでしょう。
■タイプ②能力が高い+意欲がない
経験があって仕事も一通りできるはずなのに活気がない、やる気が見えないこのようなタイプのアルバイトには、意欲を引き出す育成の方法があります。
「大切にしていることは?」たった一つの質問により、意欲の沸き処を見つけて活気を引き戻す。
(価値基準を知る)
多彩な知識や経験があるのは、当人はやる気がある時にたくさん吸収してきたから能力が高くなったということなのです。
人間はやる気がない時に知識や技術を吸収できない生き物です。
意欲がない=意欲が湧く材料がその場にないと言うことなので、それを見つけてあげることが大切です。
それを見つけるたった一つの質問が「大切にしていることは?」です。
「仕事で大切にしていること」
「私生活で大切にしていること」
「人生の中で大切にしていること」など、当人の大切にしていることを見つけてあげてそれを尊重し、受け入れてあげましょう。
簡単な事例を紹介します。
店長 「〇〇くんってさ、飲食店で働く上で大切にしていることとかあるの?」
スタッフ「特にはないですけどどうしてですか?」
店長 「器具の扱い方が丁寧だから、何かこだわりとかあるのかなって感じがして。
普段家でも料理したりするの?」
スタッフ「家で自炊はしています。
器具は綺麗な状態で使いたいので、それが仕事にも出ている感じですかね」
店長 「器具大事だよね!わかっているね?料理人としての考え方がしっかりあって頼りになるよ!」
スタッフ「器具を丁寧に扱えない人見るとすごい腹が立ちます。
でも言ってしまうと嫌がられると思って我慢しています。」
店長 「そうだよね、許せなくなるよね。
でも普段から丁寧に扱ってみんなの手本になっている○○くんが意見を言っても、誰も嫌な顔しなだろうからぜひ言ってほしいな。
言いやすい環境を作ろうって最近考えていたのよ!評価の対象にも視野に入れていて前向きに考えているので、ぜひ一緒に取り組まない?」
スタッフ「環境が整えば自分も頑張ろう!となるのでぜひ取り組みたいです」
店長 「無理しない範囲でできることから始めていこうか!」
スタッフ「はい!」
最初からこんなうまくやり取りできる?と思うかもしれませんが大事なのは
価値基準を知る→共感する→価値基準を尊重した提案をすることです。
大切にしていることはたくさんあります。
一個に限らず「他には?」など、たくさん聞き出してあげることで自身との価値観や考え方の違いがわかってきます。
理解を深めてあげることが重要です。
■タイプ③能力が低い+意欲がある
経験が少なく教えるのに一苦労かかりそうだな・・・でもやる気は十分に見られる!そんなスタッフは元からある意欲を引き出して、自主性を高めていくのが効果的。
その方法を2つにまとめました。
業務を教える時は質問形式にする。
意欲があるのでわからない業務がわかり、達成感を味わうことで自主的にその業務に取り組むようになるのですが、その際の育成方法は、時点で作り上げた業務やサービスを行う理由を考えさせてみるのです。
例えば
店長「さあ、今日は新しい業務を覚えてもらおうと思っているのだけど、経験はあるかな?」
スタッフ「いいえ、ありません」
店長「では早速説明するね。(説明省略)ところで、なぜこれをやると思う?」
スタッフ「うーん、忙しくなった時にスムーズにお店が回るようにするためですかね?」
店長「そうだね!すごいね!正解です。実際にやってみるので次から実践してみようか」
スタッフ「はい!」
店長「ここまでやってみて、何か疑問に思ったことなどはあるかな?」
スタッフ「特にはないです。」
店長「じゃあ、○○さんだったらこの業務を次に入ってきた後輩のスタッフにどう教えようと思う?」
スタッフ「自分だったら○○して教えるかな?。」
店長「素晴らしい!そこに〇〇もとりいれてみると聞きとる側も覚えやすいからやってみてね!」
という様に、とにかく質問して自分で考えて覚えるパターンが自主性が上がりやすいと言われています。
進捗中は一緒に取り組む姿勢を見せる
一緒に取り組む姿勢とは、「何かできることはある?協力するよ!」の一声をかけることです。
なぜ効果的なのかというと、一緒に取り組んでくれることで相手は安心感が生まれるのです。
職場環境の中全体に安心感のムードを作り出す方法でもあるので、ぜひ普段のコミュニケーションの中に取り入れてみてください。
■タイプ④能力が低い+意欲がない
教える側が一番悩むタイプだと思います。
このタイプの方に重要なのは、承認+注意+承認のサンドイッチ手法です。
このタイプのスタッフには、ケア=承認することが重要になってきます。
ケアをしながら成長させる方法として2つをまとめました。
「いつもできているのに、何かあったの?」と承認してからの質問を心掛ける
遅刻してきていきなり「何をやっているんだ」と感情的に怒るのは返って反感をかうだけでしょう。
挙句のはてに、口すら聞いてくれなくなります。
「いつもできているのに」「あなたならできるポテンシャルがあるのに」など初めに承認してあげることが大事。
全体的に自信のないタイプ・または状況なので悲観的になるよりかは何か力になれることはないか?と救ってあげようという教える側の意識が大事。
一つ一つの業務に対して当人の自信に繋がるコミュニケーションが必要です。
一つこなせたら大いに褒める、賞賛することで存在価値を高める
戦力にならないから放置、よくみる職場の光景です。
しかし、そういった場合にこそ、お店を作り上げる大事なパートナーとして「困っている人を助ける」という意識が大事です。
前回と比べてどこがどう良くなったのかと説明してあげる。
前回の例を出して今日の良かった点を当人に伝えてあげることで、少しずつ自信に繋がるものです。
「前回よりすごく早くなったね!じゃあ次は〇〇を意識してみて!もっと〇〇さんにとってやりやすくなるよ!」
など、当人のためになる改善の方法を提示してあげると、実践した時の理解度は高くなり、自然と動けるようになります。
また、自主性も少しずつ出てきます。
まとめ
4タイプ別の育成方法についていかがでしたでしょうか?
■タイプ①能力が高い+意欲がある
・新しく業務を教える時は一通り実践させて習性を知る
・定期的にヒアリングし、信頼関係を築く
■タイプ②能力が高い+意欲がない
・大切にしていることは?」たった一つの質問で意欲の沸き処を見つけて活気を引き戻す。
(価値基準を知る)
■タイプ③能力が低い+意欲がある
・業務を教える時は質問形式にする
・進捗中は一緒に取り組む姿勢を見せる
■タイプ④能力が低い+意欲がない
・「いつもできているのに、何かあったの?」と承認してからの質問を心掛ける
・一つこなせたら大いに褒める、賞賛することで存在価値を高める
採用してから双方のギャップをなくすためにも、教える側が上記のようにタイプ別に見極めることができれば、教えられる側も安心して成長することができるでしょう。
ぜひスタッフとのコミュニケーションの場に取り入れてみてくださいね。
現代のアルバイト育成の効率的かつ効果的な育成手段は動画ツール
■e-ラーニングの教育動画ツールの利用で共通認識を持たせることができる
最近は企業の中でも企業理念や方針、オペレーションのマニュアルなど、動画ツールを使用して空いた時間にスタッフに習得してもらう育成手段が増えてきています。
用紙にまとめられたマニュアルを見ても必ずスタッフ全員が目を通すとは限りません。
伝えたいことは書いているけど、相手に響いていない場合がほとんどです。
本当は、社長自身が一人一人のスタッフに企業理念や会社のマニュアルなどを伝えるのが一番効果的ですが、現実問題としてそこまで手が回らないですよね。
自社で働いてもらうために重要な理念や方針を社員に落とし込みを任せたとしても、伝え方に差が出てくる場合があるので、肝心なところの情報共有ができていないなんてことが多々あると思います。
自社で働くアルバイトさんの共通認識をより高めるためにも、目と耳でインプットすることができる動画ツールを利用して共通の育成マニュアルを習得させれば効率が上がります。
結果的に、スタッフとのコミュニケーションの時間を増やすことができて、より良い職場環境の構築を目指すことができます。
■何度も見返すことによって浸透していく
共通認識を持って働いてもらいたいからこそ一度見て終わりではなく、何度も見て聞いて積み重ねていくことによって浸透させていくことが大事。
10話をしても1しか習得してないと思いましょう。
10を何度も伝えることで1でも0.5でも少しずつ積み重ねていくことによって、人間は習得し、学びを浸透させていきます。
現代は、プライベートの時間を何より大事にする時代です。
極力勤務時間内に習得の時間を設けることが浸透の近道になるでしょう。
雇用形態に関係なく、自社で働くスタッフ全員が定期的な研修の時間を取得できる環境があるのとないのではチームワークにも差が出てきます。
同じ人が必ずしも教えてくれるとは限らないからこそ、何度も同じことを見る・聞くことができるe-ラーニングツールの活用が、これからの時代において重要な育成環境の改善や構築に役立っていきます。
視野に入れてみてもいいでしょう。