複数の企業が企画や予算を出資し、共同作業を行う取り組み自体は多々あります。しかし、近年は「一体どんなコラボレーションになるの?」と消費者が思うような、意外な組み合わせで話題を集めるコラボレーションマーケティングの事例が増えつつあります。
飲食店においてもこの流れは例外ではありません。毎年さまざまなコラボ企画を実施し、時には完売してしまうほどの人気を誇る企画も多くあります。
この記事では、コラボ企画におけるメリットや消費者にとってうれしいコラボ企画とは何か、実際に好評を博したコラボ企画の実例などを詳しくご紹介します。
目次
飲食店が実施するコラボレーションマーケティングの特徴
コラボレーションは、「協力」「共同作業」などと訳されるワードです。一般的に、2つ以上の企業間においてPRや商品開発、販促などを実施するものです。近年、消費者ニーズは多様化しています。そこで、消費者ニーズに応えられるマーケティング手法として注目を集めています。
特にここ数年はコロナ禍や物価高などの影響による市場の落ち込みがあります。また、トレンドに左右されない消費者の志向に寄り添った商品・サービスの展開や販促方法が求められてきました。
複数企業の共同開発や販促の手法自体は新しいものではありません。しかし、最近は「異業種コラボ」と言われるような、一見するとまったく関係のなさそうな業種同士がコラボレーションをするケースが見られるようになりました。
こうした企業同士のコラボレーションによって生まれる意外性や相乗効果を消費者が受け入れ、SNSなどのメディアで拡散されることで人気を獲得していきます。これにより、新たなニーズや価値観の創造や顧客獲得になることが期待されています。
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飲食店コラボ戦略のメリット
では、飲食店がコラボ事業を展開するメリットを具体的に解説します。
コラボをきっかけにお互いの新規顧客獲得が叶う
コラボレーションを行う企業のうちどちらかだけを知っている、あるいは購買行動を行ったことがある消費者にとっては、もう片方の企業について知る機会になります。また、場合によってはお互いの新規顧客獲得への期待ができるでしょう。
特に異業種間でのコラボでは、これまでお互いに接点がないことかが多いです。そのため競合業種と比較した際にインパクトや意外性を感じてもらいやすくなります。結果、話題性を獲得するにはぴったりな手法です。
近年は企業側が主体的に宣伝行為をするだけでなくなりました。例えば、SNSなどのツールを通じて消費者側が良いものを発信することで顧客獲得が叶う例もあります。プロジェクトやプロダクトの「話題性」は非常に重要な要素の一つと言えます。
企業力・ブランド力のアップにつながる
コラボレーション相手の企業規模・ネームバリューなどの大きさが期待できる場合、自社にとって企業力や認知度のアップが期待できるでしょう。例えば今まで採用できなかったノウハウや宣伝手法などが可能となります。そのため、消費者へのアピールがより幅広い方向性で実施できる絶好の機会と言えます。
また、自社がもともとブランドイメージの刷新やリニューアルを検討していた場合、コラボによってこれまでの自社が持たれていたイメージや固定観念を打破できるチャンスでもあります。同様に知名度そのものの向上に加え方向転換やブランド力の向上を目指せます。
他店舗との差別化を図る
競合企業がコラボレーションをしていない業種やブランドとコラボ戦略を展開することで、「こんなアイディアがあるんだ!」というイメージの差別化を図れるようになります。
ノウハウや価値観、ビジョンなどが異なる複数の企業が共同でプロジェクトを進めます。すると、自社開発だけでは見られなかった新たな視点やアイディアの共有が叶います。その結果、枠組みにとらわれない商品やサービス展開を進められるかもしれません。
現代は、「他にはないもの」「オリジナリティのある新しいもの」が話題性を呼びます。ならびに、差別化を図れるような新しいアイディアがコラボで多く生まれます。ということは消費志向を伸ばすための大きなアドバンテージになると言えるでしょう。
開発や宣伝コストの負担が軽減される
一般的に、新たなサービスや商品の開発・販売にかかるコストは大きな金額となります。結果、プロジェクトの規模や予算によっては断念しなければならないケースも出てくるでしょう。
一方で、コラボマーケティングの手法は複数の企業が共同出資で進めます。そのため、大きなプロジェクトでもコストに余裕ができます。結果、自社だけでは実現できなかった企業戦略を進められます。
また、革新的で将来性の高いプロジェクトが進行中であると消費者だけでなく投資家の目に留まれば、さらに余裕をもった資金調達が叶う可能性があります。資金が潤うことで、第2弾・第3弾と継続的なコラボレーションが可能になります。そのほか、規模の大きな企画進行を進められるかもしれません。
飲食店コラボにおける重要ポイント
飲食店のコラボ企画はこのようにさまざまなメリットがあります。ただ、やみくもにさまざまな企業とコラボレーションをすれば良いわけではありません。費用対効果がしっかりと見込めるコラボ戦略を立てるために、重要となるポイントを掘り下げてみましょう。
消費者ニーズに合ったコラボ相手かどうか
コラボ先の相手企業を決める際、先ほど触れた「意外性」「話題性」が重要です。また、自社とコラボすることでお互いにメリットがあるのか、コラボプロジェクトが成功し売上アップが見込めるのか、という点も見極めなければいけません。
コラボレーションが成功する要因の一つとして、「親和性」が見込めるかが重要です。親和性は、これまでの企業が歩んできた目標や価値観、ビジョンなどを通じて新たなモノが創造されるといったストーリーのなかで生まれるものです。
コラボ企画が生まれた背景などを消費者と共有しましょう。すなわち、消費者にとっても深く触れ合えるコンテンツを構築するのも良いでしょう。しかし、それはお互いの消費者・ユーザーが望むコラボ戦略でなければいけません。かえって、コラボレーションを実施するメリットを享受できなくなります。
コラボ先のプロダクトやサービスそのもので判断するか、Webサイトなどにアップされている企業理念やビジョンなどで判断するかは場合によります。どちらにせよ「自社とコラボ先との融合で生まれるもの」のニーズや重要性、親和性を考慮してコラボ先を決めるとプロジェクトの成功率が高まるでしょう。
コラボ相手ならではのアイディアを組み込みたい
コラボ企画を行うのであれば、その相手ならではのイメージをプロダクトやサービスに消化できないか?と考えることが重要です。
例えばアニメやゲームなどとコラボをする場合、ファンの心理を考慮すべきです。特に、作中に出てくる食べ物や飲み物を試してみたい!というニーズが考えられます。
そこで、再現可能なレシピを考案しコラボ商品として展開してみましょう。世界観に没入できるコラボとして喜ばれることが期待できるでしょう。
また、コラボメニューの考案のほかにも、店内装飾にこだわりましょう。コラボイベント限定で変更したり、オリジナルグッズを製作したりして販売するスペースやフォトエリアなどを設けるのも良いでしょう。店舗に訪れることによるメリットを消費者が感じられるような内容であれば、コラボ期間内のリピーター獲得が期待できます。
コラボ企画のコストや売上目標を明確に
コストや展開の方針にしっかりと折り合いがつかなければいけません。コラボ企画そのものの内容を詰めたとしても、企画の存続自体が危ぶまれてしまいます。コラボ企画開催後にトラブルに発展しないよう気を付けなければなりません。特に、事前にコストやスケジュールなど細かい内容まですり合わせをしておきましょう。
また、企画立案からイベント開始までのスケジュール調整はどうしても複数間でのやり取りが必要になります。そのため、形になるまでに時間を要することは把握しておかなければいけません。
適切な告知方法の検討
告知や宣伝広告を出す際には、企画で集客を望めるターゲット層を狙った使い分けをしましょう。
お互いに得意な宣伝・告知方法や媒体がある場合は、それぞれの得意分野を生かした方向で進められると、より宣伝効果が高まります。
例えば、学生や20代など若年層がターゲットなら、SNSを使った宣伝が効果的です。特にSNSの宣伝ではコラボメニューや内装イメージなどの画像を投稿しましょう。より詳しく内容を知りたいユーザーには、オウンドメディアのWebサイトにつながるURLリンクを設置しましょう。例えば、詳細情報へ簡単にアクセスできるといった方法が効果的です。
飲食店コラボ企画事例
最後に、実際に話題や人気を集めた飲食店とのコラボレーション企画をご紹介します。
タリーズコーヒー×ハリー・ポッター
「タリーズコーヒー」大手コーヒーチェーン店です。世界的にヒットしたファンタジー小説および映画「ハリー・ポッター」シリーズとのコラボ企画2021年に第1弾が始まりました。今やホリデーシーズンの代名詞ともいえます。2023年10月までに既に4回のコラボイベントを実施しています。そのことから、消費者にとっても非常に大人気のコラボ企画であることがうかがえます。
第1弾では劇中に登場した食べ物や、主人公たちが生活する学生寮のイメージカラーをモチーフにしたスイーツ、ドリンク各種などのラインナップがあります。またフード・ドリンクだけではなく、店頭やオンラインショップなどで購入できるオリジナルグッズもあわせて販売されました。
デニーズ×すみっコぐらし
デニーズは、ファミリーレストランチェーンです。そことリラックマなどが知られるサンエックスのキャラクターシリーズ「すみっコぐらし」とのコラボ企画が実現しました。こちらも2022年に続き2023年から24年にかけて第2弾のキャンペーンが終了したばかりです。そのなかでも、数量限定のグッズは非常に大好評だったようです。
飲食店コラボとしては珍しく限定メニューなどはありません。しかし、特定のメニューを注文した際にもれなくもらえる「すみっコぐらしオリジナルシール」の配布のほか、デニーズ歴代のコスチュームを着た「てのりぬいぐるみ」の販売がありました。
モスバーガー×ファミリーマート
最後にご紹介するのはメディアミックスでのコラボではなく、モスバーガーと大手コンビニチェーンファミリーマートとのコラボレーション企画です。
冬のコンビニといえば肉まんを思い浮かべる方も多いと思います。こちらのコラボではモスバーガーが監修したオリジナルの肉まんメニューをコラボ商品として販売しました。
2022年に初めて両者がコラボした際に販売された「テリヤキ肉まん」の販売期間は、1か月半ほどでした。しかし、なんと累計で150万食を突破した大人気メニューとなったそうです。そして、2023年11月には「衝撃ふたたび!」と称して第2弾のコラボが発表され話題になりました。
「クリームチーズテリヤキバーガー」はモスバーガーの大人気メニューです。その味わいをベースに、更にパワーアップした「テリヤキクリームチーズ肉まん」が販売され、こちらも大好評となっています。
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まとめ
コラボキャンペーンやイベントの実施は、新たな顧客獲得やさらなるビジネスチャンスの開拓の可能性を秘めています。また、メリットの大きいマーケティング方法であることがわかりました。一方で、コラボ先との企画の方向性や予算、内容などを確定させなければいけません。ためにしっかりと時間をかけることが重要です。そして、ターゲット層はしっかり設定しなければならないことを把握しておきましょう。
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